【トスカーナ】
ランケッレranchelle

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Ranchelle

ランケッレ

MAREMMA|TOSCANA

失われたマレンマの土着品種、混植混醸の復活

Ca' la Bionda

◭スーパー・トスカーナに壊された産地

フィレンツェとローマの中間に位置するマレンマ。その中心、サトゥルニアの隣、人口80人の小さな村にあるのがカンティーナ・ランケッレ。村には1軒のレストランと1軒のバールしかない、典型的なトスカーナの原風景です。
実は、マレンマほどワイン産地として哀れな場所はありません。トスカーナは各地域に独自のワイン文化が育っていましたが、ワインに注目が集まるにつれ、キャンティ・クラシコ、モンタルチーノやヴィーノ・ノビレといったブランド産地が出来上がっていきました。
90年代のスーパー・トスカーナ時代にメルローの最適地としてマレンマが注目され、マレンマの土着品種はメルローやカベルネに植え替えられてしまいます。ブームの終焉と共に葡萄畑は放棄され、土着品種までも失ってしまったのです。
マレンマはイタリアで最も農作物の栽培に適していると言われる程、豊かな自然、土壌、そして太陽があり、年間降雨量も葡萄栽培にとって最適。それだけに他の産地では育たなかった固有の土着品種が多く残っていたのです。

◭千の宝石と呼ばれる畑

このような惨状はイタリア人以上に、外から見ている外国人の方が辛く、哀れに感じたのかもしれません。ドイツ出身でデジタル・アーティストとして成功したクリストフはセミ・リタイアを目指し、農業での生活を模索していました。
ワイン好きだったクリストフはイタリアの試飲サロンで醸造家のエンリコ・バケキと出会い、マレンマの惨状を知ります。マレンマの昔ながらのワイン文化は継承する人がおらず、その時には既に消滅しかかっていたのです。
すぐに、森に囲まれて耕作放棄されたミロッキオ畑を購入。この畑にはマレンマの伝統とも言うべき土着品種15種が混植されていました。マンモロ、ボナミコ、クレレット等、マレンマにしかない土着品種が僅かに残されていたのです。
『国際品種は土地に根差したものではなく、何処でも育つハイブリッド種。マレンマのテロワールから生まれ、長い年月をかけて定着していった品種にこそ意味がある。ミロッキオ畑(千の宝石)には、まさにそれが残っていたのです』

◭毎日酵母の動きを記録

2014年に設立されたランケッレ。クリストフは少しずつ畑を増やし、4ヶ所に分かれた4haの畑を所有。除草剤、防虫剤も含め、農薬の使用は一切ありません。使われるのは銅と硫黄のみ(有機栽培で認められる量の1/4以下)。
『農薬を使っている畑の葡萄樹は野生ではないのです。自分で自然の中でバランスをとる事ができません。農薬なしで生物多様性の中で、自分でバランスをとってきた葡萄畑に農薬は必要ないんです』
自然栽培で育てた土着品種を、出来る限り自然に何も加えず、ワインに変えていく。ポンプもラベリングマシーンも使いません。ボトリングも漏斗を使って1本1本手作業で行い、コルクも手作業で打ち込んでいます。
収穫した葡萄はエナメルタンクの上で除梗し、そのままタンク内に落とす事でポンプを使用しなくて済み、モストはほとんどストレスを感じずに発酵までたどり着けます。野生酵母のみ、温度管理なしで自然発酵。ドイツ人らしくタンクの状態を毎日記録し、自然発酵でも大きな問題が起きないよう管理しています。

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